瓶詰めされた夏の収穫





Italy~Como

朝夕の風が肌にひんやりと冷たく、入道雲の透き間から差し込む光線も目に優しくなり、夏の終わりが近づいている兆しを日に増して感じるようになりました。
8月終わり。6月10日から始まった約3ヶ月の長い夏休みの終わり間近になると、観光客が立ち寄る湖畔沿いのお店意外はバカンスで店仕舞いしてしまう街中にも、新学期の準備をする学生の姿が目立ちます。

3週間家を空けた我が家に久しぶりに帰って来ると、キッチンの片隅に一人留守番をしてくれていた夫を訪ねて来たお客様が持って来てくれたお土産を発見。それは、手書きのラベルに”07.2013”と書かれた瓶詰めの手作りジャムでした。
ヨーロッパでは、夏になるとジャム作りが必見です。イタリアでも夏の収穫を保存する準備は早くから始まり、盛夏のスーパーにジャム用の瓶を探しにいっても完売していて見つからないこともあったりします。家庭菜園の収穫、ハイキングで摘んで来た野生の野いちごなどをジャムにしてお土産にするのは夏の素敵な風習です。我が家でも数年前からイチジクのジャム作りが習慣となりました。きっかけは、ある日、甘く熟したイチジクの実を発見した糖尿もちの友人が、糖値が上がるのを覚悟しながらも誘惑に負けてほうばりついたときのその姿があまりにも美味しそうだったから……。それまでは雑草扱いにしていたイチジクの木の見方が変わってしまいました。といっても、イチジクはそのままフルーツとして食べても追いつかないほど実がなる豊作な木。それで思い立ったのがジャム作り。以来、毎年バカンスからもどって来たあとのゆっくりできる時間は、ジャム作りに専念するのが習慣となりました。寒い時期になるとそんな夏の収穫をチーズと一緒に食べるのも中々美味なものです。

このイチジクのジャムを近所に住むイタリア人の友人におすそわけすると、早速お返しにいただいたのが、私がプレゼントしたジャムで作ったクロスタータ。一見アメリカのデザート・パイのように見える焼き菓子ですが、バターでできた薄皮ベーストリーの生地の旨味を軽く焼き上げるのが美味しさの極めどころのパイは意外とテクニックを要します。その反面、クロスタータの生地は材料を合わせてパイプレートに伸ばし焼くだけの意外と簡単な生地です。食感は、薄皮というよりもビスケットのよう。日持ちがするので、イタリアでは朝食代わりとしても頻繁に登場します。トーストとジャムのような味わいですが、ジャムをあとから塗るのではなく、生地と一緒にすでに組込まれた一石二鳥の朝食にもなるわけです。
毎年秋風が吹く頃になると夏の収穫が詰まった手作りのお土産がコレクションのように増えますが、だんだんと日が短くなっていく時期になっても、ジャムを沢山詰まったクロスタータをいただきながら、太陽のエネルギーを沢山吸いこんだ夏の思い出を末永く堪能しています。


熟したいちじくの実
熟したいちじくの実

ホームメードジャム
いろんな人からもらった
ホームメードジャムの一部

クロスタータ
出来上がりのクロスタータ。これは私が焼いたものですが、本来ならパイのように生地を十字に並べますが、夏日のベーキングは生地がすぐ柔らかくなるので、即席案でこうなりました。

手作りジャムのお土産
手書きのラベルがはってある手作りジャムのお土産

ライター紹介

ただの知代(ただのちよ)
イタリア在10年、大学生の長男筆頭に下の二人は男女双子の三人の母親です。
お料理も大好きですが、クッキングよりも食文化に興味もっているので、そんなことをテーマに書くのが好きです。

イタリア、コモ市。
コモ(Como、コーモとも)は、人口83,016人のイタリア共和国ロンバルディア州コモ県のコムーネの一つで、コモ県の県都である。
コモ湖を通じてスイスに接している。絹の産地として有名。


「”コモ”」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
最終更新 2012年8月30日 (木) 12:50
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