贈る喜び





クリスマスのライトアップされた大聖堂

クリスマスのライトアップされた大聖堂

クリスマスショッピングの人出で町中には元気がもどってきました。経済指標でみるとヨーロッパは今年も景気後退、その中でもイタリアはというと今年も厳しい通信簿でマイナス成長。観光地としてのイタリアの変わらぬ人気に助けられたとは言え、高い通貨の影響で観光客のお財布のひもはかたい。そんな状況とあわせ、風景が売り物のコモでは夏から続く異常気象による雨量により、多大な打撃となりました。例年ですとすでに雪帽子をかぶっているイタリアンアルプスも、温暖化の影響でスキーシーズンにむけて雪が降るのをまだ待っている、そんな苦しい状況で一年をしめくくります。

「子供達とクリスマスを分かち合いたいから」と、毎年自宅の一部を解放する地元の奉仕家

「子供達とクリスマスを分かち合いたいから」と、毎年自宅の一部を解放する地元の奉仕家

ミニチュアの世界で再現されたクリスマスのインスタレーション

ミニチュアの世界で再現されたクリスマスのインスタレーション

中へと続きます。

中へと続きます。

「バボ・ナターレ(サンタクロース)の住むところ」

「バボ・ナターレ(サンタクロース)の住むところ」

夢のあるインスタレーションに思わず立ち止まる人々

夢のあるインスタレーションに思わず立ち止まる人々

イタリアには「カフェー・ソスペーゾ」、という習慣があります。
発祥地はコーヒーが美味しいことで有名なナポリのバール(カフェ)だそうです。この習慣は、お金に余裕がある人が1杯のコーヒーを飲むときに、2杯分の代金を支払うというもの。時にどうしてもお金が無くてコーヒー代もままならない人のために代金を”ソスペーゾ(前倒し)”で払うというのがこの習慣の始まりだそうです。
エスプレッソは1ユーロ(約150円)前後、カプチーノだと1.5ユーロ(約220円)前後の料金ですので、払う方も大きな出資ではありません。コーヒーは市民のエネルギー源、バールでホッと一息し、辛い時期を共に乗り切ろう、そんな分かち合いの気持ちがこの運動の趣旨だそうです。コモでは失われてしまった習慣でしたが、最近またこの習慣を復活させようという動きが一部のバールで広がっています。

今年は身近にこんな出来事がありました。仲良くしていた友人の夫がギャンブルで個人経営していた会社のお金を遣い込みし、拘束されるという事件をおこしてしまいました(現在もその夫は拘束中)。突然起きた夫の不祥事でどん底に落とされた友人に、外国人の私はどのように手を差し伸べたらいいのか悩んでいた矢先、友人たちが動きました。夫の収入がなくなり困っている友人と三人の子供を助けようと、無記名の封筒に各家庭出来る範囲の金額を挿入し、会計係の人に託し、友人ファミリーに毎月届けたのです。この奉仕活動は水面下で行われたのですが、手早く結束して始めたこの運動に、ただただ感心させられました。この国はいざという時、友人に手を差し伸べようとこのようにして団結するのかと……。

 クリスマスの時期になると街角には寄付をつのる団体のスタンドが並びます。街中で小物を行商する違法滞在者や移民の人にも釣り銭の小銭を渡す、そんな様子を目にします。「ペンシエーロ(気持ちだけ)」と、イタリア語でも額は少なくても気持ちだけ受け取ってほしい贈り物の事をそう言います。贈る事ができる喜びを感謝する、それが本当のクリスマスの趣旨と改めて考えさせられます。

ミニクリスマスツリーの販売で寄付金をつのるスタンド

ミニクリスマスツリーの販売で寄付金をつのるスタンド

ライター紹介
ただの知代(ただのちよ) イタリア在10年、大学生の長男筆頭に下の二人は男女双子の三人の母親です。 お料理も大好きですが、クッキングよりも食文化に興味もっているので、そんなことをテーマに書くのが好きです。