日本のこころを伝える〜「一粒萬倍 A SEED」





昨年のアメリカ・L.A.公演に続き、この春、銀座・観世能楽堂で盛況のうちに幕を閉じることができました。みなさま、どうもありがとうございました!

○日本のこころの源流を探る

いまオリンピックに向けて様々な国の人たちが日本を訪れています。
そんな中、「日本とはどんな国ですか?」という問いに私たちはどう答えるでしょうか?

四季のある国、和食のおい美味しい国、技術大国、などなど、様々な答えがあると思います。
単に美しいから四季なのではなく、自然のなかで生かされているこ とへの感謝のこころがあるから、四季の移り変わりに喜びを感じることができる。
四季折々の食材を使うから和食なのではなく、食材一つ一つのいのちと自然の 恵みに感謝のこころで料理するのが和食であり、ネジや部品の一つ一つにもカミサマが宿っていると感じてモノづくりに魂を込めているのが日本の匠のこころなのだと思います。

そんな国が日本だと思います。そして、日本のこころ、それは感謝のこころだと思います。

この感謝のこころは、木の枝、石ころ、お箸などにも、あらゆるものにカミサマ神さまが存在している。万物に宿る八百万のカミサマに感謝して生きてきた私たち祖先の精神性、生き方のなかで育まれてきたものだと思います。

そして、この八百万のカミサマの物語が描かれているのが日本の神話です。

日本のこころを伝えたい。「いただきます」の源流にある日本のカミサマの物語をつくりたい。
そう思って作り上げたのが、この舞台「一粒萬倍 A SEED」でした。

○  舞台「一粒萬倍 A SEED」とは?

日本の神話の最初の一文でには、男でもない女でもないアメノミナカヌシというカミサマが姿を現し、そしてすぐに姿を隠されます。

こ の舞台では、アメノミナカヌシは宇宙の始まりのビッグバン(ビッグバンで生まれる最初の物質である素粒子=男でも女でもないアメノミナカヌシ)だったので はないか?という想定のもと、静寂のなかに響く大皷の音だけで、このカミサマの登場を表現してみたい。そう思ったのがこの舞台をつくる最初のきっかけでし た。

この舞台は、ビッグバンの前の世界から、宇宙が誕生して、そこから次々と生まれてくる八百万のカミサマと、稲穂が誕生して私たちの世界に五穀豊穣の恵みがもたらされるまでのストーリーを「融合と調和」をテーマに、舞踊とライブ演奏で表現しました。

一つのストーリーを能、狂言、日本舞踊、現代舞踊、生け花が一つに繋がり、邦楽囃子、和太鼓、箏、バイオリン、チェロの演奏で表現した古代ビジュアル絵巻の舞台となっています。

古典と現代、東洋と西洋を組み合わせる事で、単体だけでは感じることができなかった「日本」の伝統と新しい魅力を、幅広い世代と様々な人たちに感じてもらいたい、そして日本のこころを伝えたいという思いで制作しました。
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○奉納舞台としての上演〜芸能の原点を考える

芸能の原点は掘り下げていけば収穫への感謝と祈念からはじまったといえます。

この舞台では、そうした原点に立ち戻り、この瞬間を生きていることへの喜び、自然の恵みへの感謝、そして国、人種、宗教を超えた世界の調和を祈念する奉納舞台として、2016年10月に東京東中野にある梅若能楽学院会館、2017年1月ロサンゼルスアームストロング劇場(招待作品)、2018年5月銀座シックス地下三階にできた観世能楽堂で上演してきました。

お陰様でどの上演も盛況のなか幕を閉じることができました。
ロサンゼル上演では、口コミでこの舞台の情報が広がり、チケットはあっという間に完売。外国人の方々へのアンケートでもほぼ満点に近い評価をいただきました。海外での日本の文化への関心の高さをあらためて感じたのと同時に、この舞台は世界中の人たちに楽しんでもらえる!と強く感じました。  そしてこの5月、銀座という場所でしかも平日の上演となったのですが、国内ではどのように受け入れられるのだろうか?少し不安もありました。 きっと初めて観るお客さまは「能、狂言、日舞、現代舞踊がでてるこの舞台は何なのか?」と思っていたに違いありません。 しかし、上演後は多方面からとても嬉しい言葉をたくさん頂くことができ、又、最初は固い表情だった来場者の皆さんも、上演後にはとても楽しそうな、嬉しそうな笑顔になってくれていたのがとても印象的でした。

○2018年11月、再上演決定!
5月の上演で多数の再上演を期待する声をいただいたお陰で、この舞台、今年11月に再び観世能楽堂で上演する運びとなりました。

この上演の詳細は、追って一粒萬倍ホームページFacebookなどで公開させてもらいます。東京でのたった一日だけの上演となりますが、ご都合よろしければ是非観に来てください。

来年は、ニューヨーク上演を行います。
そして、ニューヨーク上演を皮切りに、世界ツアーを実現したいと思っています。

世界の人たちと共に日本のカミサマの物語を共有し、世界と一つに繋がり、次世代に日本のこころを継承していければと思います。

○    最後に、、、
日本の神話とかカミサマという話をしていると、周りから「何の宗教はじめたの??」という声を聞く事がありますが、この活動は宗教とは関係ありません。

海外に住んで感じたことが(あくまでも個人的感想ですが)、世界的には宗教が人々の道徳観念のベースになっていると思いますし、どの宗教も人々にとって人生の行き先を照らしてくれる灯台のようなとても大切なものだと思っています。

海外では、よく無宗教だといわれる私たち日本人は、「お天道さまはみているよ」とか「悪い事するとバチがあたる」というように、なにか目に見えない存在に畏れを感じていて(それが八百万のカミサマだと思うのです)、宗教ではなくてもそうした畏れ多い存在が、私たちの道徳観を形成しているのだと思います。

それ故、
What is your religion?
と聞かれると、
I’m a Buddhist and I believe in Shinto.
という応え方をしています。
(家のお墓がお寺にあって、新年には神社にお参りに行くので、そう応えているのですが、なんで二つのものに属しているのか?節操ない奴だなぁと思われているのかもしれません・苦笑)

いまの日本では、「神様」という言葉のなかで、西洋のゴッドと日本の八百万のカミサマを一緒にして表現、理解しようとしていますが、まずはこの点を根本的に考え直さなくてはいけないことだと感じています。

西洋のゴッドと日本のカミサマは似た様な存在かもしれませんが、根本的に違います。
西洋のゴッドは宗教のゴッドであり、そこには教義教典があり、その教義教典にあわないものは認められないということであり、そのために布教という活動が行われます。

日本のカミサマには、教義教典も布教もなく、どちらが正しいとか間違っているという考えもなく、お天道さまが美しい花も(人間から見て汚いと思う)汚物も、悪人も善人も、国も人種も宗教も関係なく、平等に太陽の光を照らすのと同じように、ただそこになにかしら畏れ多い存在としているものが日本のカミサマだと思います。
(上記の理由で、この本文では、カミサマという表記を使っています)

「カミサマ」も「いただきます」という言葉も、なかなか一言では説明できないのですが、いつの日か「カミサマ」「いただきます」という言葉も世界共通語になってくれたらと思っています。
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