音楽と自然をつなぐ(KNOBさん)





音楽と自然をつなぐ(KNOBさん)

平等院にて

平等院にて

「いただきますTV」がKNOBさんと出会ったのは、2011年11月のこと。
やまとかたり(古事記)を朗読する大小田(おおこだ)さくら子さん、スピリチュアル ネイティブ フルート奏者の真砂(まさご)秀(ひで)朗(あき)さんとの『実りの祈りー新嘗祭(にいなめさい)の祝祭日に捧げる祈りの響宴』のライブセッションでした。
ディジュリドウというオーストラリア・アポリジニの楽器を演奏する彼が神々しく見え、新米の収穫を感謝する新嘗祭にふさわしい、命のリズムを刻む楽器の音に魅了されました。KNOBさんと楽器との出会い、そして不思議なエピソード……。そこに、「いただきます」との強い接点を感じたのです。



鶴岡八幡宮にて

鶴岡八幡宮にて



奏でたら恵みの雨が降ってきた

ライブを思い起こして、KNOBさんは言いました。
「代々木能舞台で行わせていただいたあの演奏会に至るまでのことは不思議なことの連続でした。
6月に初めて田植えをさせていただいた真砂さんのたんぼには、縄文時代からの原始的な稲作をしている棚田を見守るような古い小さな神社があり、そこで田植えのあと祈りと感謝をこめて演奏をさせていただいたのですが、途中で豪雨になり、演奏が終わったら嘘のように晴れ上がったのです。
まるで、稲作をたたえる恵みの雨のようでした」 その後も真砂さんとともに、稲刈りから脱穀までを体験し、自然な形で新嘗祭の演奏会に繋がっていったといいます。
「昔ながらの農法で機械を使わず、手植えをして桑ですき、足踏みの脱穀機を使うというものでしたが、それだけに自然そのものと交流させてもらった感じがしました。収穫したお米の味はもちろん、格別でしたね」

かつては芸能界でアイドルとして歌い踊っていたKNOBさん。
しかし、そのスタンスに違和感を覚え、模索しながら訪れたオーストラリアで運命の楽器と出会いました。
それが、オーストラリアの先住民といわれるアポリジニの人々が、大地の精霊や宇宙の神々と交感するために使うディジュリドウ。
お腹の底に響くようなネイティブな音色を聴いたとたん、「自分の中でこれだ、とパチーン!とはまる音がしたのです」
宇宙と関わる楽器だけに奏でることの畏れ多さも感じましたが、やがてはディジュリドウと一体に。
夜の森で奏でたときは「周囲の木々が全部僕を包んでくれている。自分と森との違いを感じない、というくらいの完璧な一体感を味わうことができました」



鶴岡八幡宮にて

鶴岡八幡宮にて



ふと石笛に出会う奇跡

以来、KNOBさんの音楽は「大自然」を奏でるものとなりました。奏でることで大地や風や空の恵みを得、奏でることでそれらにおかえしをする。まさに天からいただき、天にお返しをすることが人生となりました。
そんなふうに音楽と関わると、「浜辺を歩いているときに、ふと石笛をみつける」という奇跡にも出会えるのです。
石笛とは、縄文遺跡から発掘されるような貴重なもので、石にあいた孔に息を吹くことで音を奏でる笛です。「太古の日本の人々は、神を呼ぶために吹いたという説もあります」
KNOBさんはこの石笛を大事に携えつつ、「これは僕が宇宙からたまたまお預かりしたもの。またいずれは縁のある人のところに譲られていくもの」と考え、その間の使命として、ときどき演奏するのだといいます。
とはいえ、彼は自分を“特別な、選ばれた人”と思っているわけではありません。
「僕はお酒も飲むし、飲めば酔います。穢れもたまります。だからこそ、祝詞を詠ませていただき、精霊を呼ぶ楽器も演奏させていただく。演奏することで穢れを払わせていただき、気を戻させていただく。そのことにも感謝をして生きていかなければと思っています」
音楽で大自然とつながることなど、平凡な人にはできそうもないと思えてしまうけれど、「そんなことはありません。人の耳はとてもよくできています。意識を合わせると、聴きたい音、聴くべき音が聞こえてくるのです。そんな音が聴こえてきたら、あなたもきっと、大自然と音楽でつながることができますよ」
さあ、私たちも静かに目を閉じて、聴こえてくるものに耳をすませてみましょうよ。



KNOB (ノブ)
本名・中村亘利。1970年生まれ。
13歳からダンスを始め、芸能界で活動後、25歳のときにオーストラリアでディジュリドウに出会う。帰国後、独自にトレーニングを重ねる。 同じころ石笛の存在も知る。書家としても活動を続ける。現在は北鎌倉雪堂美術館を拠点に全国で活動。

いただきますレポート


平等院にて

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